気の除細動器

気逆が進んで狐憑きの状態になった場合に甘麦大棗湯を用いると短期間に普通の状態に戻るということらしいです。心室細動は心停止に結び付く重篤な状態ですが、AEDで除細動すれば瞬間的に改善します。同様に気がおかしくなったときに甘麦大棗湯を用いるとすぐによくなるので、シンポジストの南澤先生は「気の除細動器」と表現されました。

患者さんはこの狐憑き状態のことを振り返って「自分で自分をどうしてよいかわからなかった」といいそうです。また、服用後は「人生が変わった」と感じるそうです。

腹診では腹直筋の抵抗があるにもかかわらず、上腹部を圧迫すると何の抵抗もなく手が吸い込まれるように沈んでいくということです。これを「羽毛腹」といいます。

地道食材

生薬には産地や品質、収穫時期などにより品質の良しあしが生じますが、大地の恵みを最大限に生かした高品質のものを使う「地道薬材」という概念が基本にあります。

葛根

葛根湯でお馴染みの葛根は、クズの根を乾燥させて生薬にしたものです。日本で使用されている生薬としての葛根はサイコロ状に細かく切り刻まれ、「小角葛根」と呼ばれますが、中国や台湾では平らで大きな「板葛根」が上質で治療効果が高いとされています。

人参

朝鮮人参が最も高級とされ、オタネニンジンがそれに次ぎ、竹節人参も可とされています。

白朮

オケラの根茎を乾燥させて生薬にしたものです。中国では日本より大型のオオバナオケラが用いられ、より上質であるとされています。

厚朴

日本産の厚朴を和厚朴といい、中国産を唐厚朴といいます。唐厚朴は香りが強く、利気作用に優れ上質とされる一方、和厚朴は理気作用が弱く利水作用が強いといわれています。

当帰

中国の当帰は唐当帰といいます。これに対して日本に自生するオオブカトウキ、ヤマトトウキは品質が良く、北海道で大量に栽培されている北海当帰は質が低いとされています。

柴胡

日本に自生していた三島柴胡は最高級品と評価されていましたが、野生のものは採れなくなり、現在は稙柴胡、北柴胡、栽培した三島柴胡、津柴胡などが使用されています。

コマツナの花とさや

昨秋、畑にまいたコマツナが大きく育ちさやを付けました。分岐した枝からはなぜか黄色い花が咲いています。豆を収穫して蒔けば、育ってくれるのでしょうか。

漢方薬が用いられる状況

漢方治療の方が西洋医学的標準治療よりも優れている場合

こむらがえり        芍薬甘草湯
認知症に伴う行動・心理症状 抑肝散
インフルエンザの初期    麻黄湯
急性胃腸炎の初期      五苓散
血球貪食症候群       小柴胡湯

 漢方治療と西洋医学的標準治療との併用により両者の効果を増強する場合

片頭痛    トリプタン製剤+呉茱萸湯
三叉神経痛  テグレトール+五苓散
大腸憩室炎  抗菌材+大黄牡丹皮湯
関節リウマチ MTX+防已黄耆湯

漢方治療を併用することにより西洋医学的標準治療の副作用が軽減される場合

(主にがん化学療法に対する副作用)
口腔粘膜炎  半夏瀉心湯
四肢のしびれ 牛車腎気丸
食欲不振   六君子湯
倦怠感    補中益気湯
骨髄抑制   十全大補湯、人参養栄湯

西洋医学的標準治療が行えない疾患に対して漢方薬を投与する場合

アレルギー性鼻炎(副作用による眠気のため抗アレルギー薬が使えない)
小柴胡湯加附子
非ステロイド性消炎鎮痛剤(MSAID)による喘息 発熱、感冒、腰痛
桂枝湯と越婢加朮湯

 

上記は医学的理由により漢方薬を用いる症例の分類ですが、他の理由もあります。

 経済的理由

西洋医学的標準治療に用いる薬剤と漢方薬を比べると、漢方薬の方がかなり安価であり、漢方薬の処方には高額な検査も必要ありません。さらに、さまざまな病気を1つの漢方薬で治すことができる場合もあり、その点でも治療費は安くなります。少数の薬を使用する利点は多剤使用より副作用が出にくいことで、漢方薬を用いる医学的理由ともなります。

患者の趣向性

漢方薬は数千年前から様々な病気に対して使用されてきた実績があるため、未知の副作用が生じる心配はほとんどありません。副作用自体が生じにくく重篤なものはわずかですから、「天然成分」「医食同源」などに魅かれる健康志向の患者の趣向性にもマッチするといえるでしょう。

キアゲハの幼虫

畑のミツバに見慣れぬアオムシが繁殖しました。どうやらキアゲハの幼虫だということです。食欲は旺盛でみるみる葉がなくなっていきます。

歯や顔面、頭等の痛みが1か月続いています

【相談者】2018年6月28日S
初めまして。歯や顔面、頭等の痛みが1か月続いており、質問させていただきます。 1か月前に2日連続ですごく固い地鶏を食べたところ、夜眠れないくらいに歯(右奥歯下)が痛くなりました。翌日近隣の歯科にいったところ原因はよく分からないが神経が悪さしている可能性もあるとの事で右下一番奥の下の歯の神経を取り現在も治療継続中ですが、痛みが全くおさまりません。

痛みはその後歯だけではなく、こめかみや頬、様々な部位の頭痛があります。また鎖骨、首付近など押さえると筋が緊張している感じがあり様々ですが、基本右側が痛く、頬とこめかみあたりが特に不快です。食事をすると右側奥歯上下がダメージを受けて辛い感じです。

その後、ネット等の検索で症状が筋・筋膜性歯痛と似ているのではと考え、大阪歯科大病院の歯科及びペインクリニックに行ってその旨伝えて診てもらいましたが、現在治療中の歯の治療がすべて終わってからでないと何とも言えないとの事でした。

ロキソニンを2錠飲むと何とか痛みは治まるのですが、この容量の鎮痛剤を継続して飲み続けるのも副作用等もあり嫌ですし、何とかならないかとても不安な状況です。アドバイスいただければ幸いです。何卒よろしくお願い致します。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
歯の破折などによる歯髄炎に起因する疼痛が考えられますが、その場合は冷たいものや熱いものによる刺激で痛みが悪化する傾向があります。

右下一番奥の歯は神経を取る処置をしても症状がおさまらない場合は、その歯が原因である可能性は低いでしょう。

他の歯に歯髄炎の所見がない場合は、筋炎・筋膜炎や顎関節の炎症による痛みの可能性が高いと推察します。「歯を原因とする痛みの可能性が低いため、筋炎など他の疼痛の精査を依頼する」というような内容の紹介状を主治医に書いてもらい、大学病院や総合病院を受診されることをお勧めします。

第69回日本東洋医学会総会

グランキューブ大坂で3日間に渡り開催された日本東洋医学会に参加しました。パネルディスカッションではスクリーンに舌の写真が映し出されました。参加者はスマホを使ってそれぞれが読み取った舌診所見を投票しました。

舌診は見てすぐわかる検査方法なので術者間の差はほとんどないだろうと予想していたのですが、かなりばらつきがある結果が出たことに驚きました。この辺りが血液検査や画像診断と比べて説得力に欠ける部分だと思います。

舌の両脇の奥側の異常

相談: (20歳 男性)

初めまして。最近気になっていることがあり、舌の両脇の奥側なのですが、通常はどのような色?またはボツボツ的なものは普通あるのでしょうか?自分のを見てみたところ、舌の両脇の奥側の下の方が血管みたいなものが浮き出ていて、その付近が白く筋のような感じになっているように見えます。他の人の舌などは見たことがないので自分だけがなっているのではないかと不安になりました。癌とかの可能性はあるのでしょうか?教えて頂ければ幸いです。よろしくお願いします

回答:口腔内科 樋口均也

舌縁後方部には葉状乳頭というリンパ組織が左右に一対ずつあり、周囲の舌粘膜と比べるとやや赤味があって隆起し、表面は凸凹しています。何らかの刺激が加わると赤味が増したり痛んだりするため、「がん」を案じて受診される方もいます。

ご心配されている部分はこの葉状乳頭ではないでしょうか。その場合は正常な組織なので治療の必要はありません。ただし扁平苔癬や白板症、カンジダ症などの病気の可能性もあるため、検査を受けられることをお勧めします。

有松・鳴海絞

絞は木綿の生地に藍染をする際模様を付けて変化を付ける方法として発展しました。日本の絞は三河木綿を使った名古屋の有松・鳴海で盛んになり、尾張藩の庇護を受けて江戸時代に発展しました。

明治維新後は各地で絞が盛んとなり、有松・鳴海絞では新しい絞の技法が次々と開発されました。インドやアフリカにも絞の技術がありますが、世界中で100種類ほどある絞の技法のうちで75種が有松・鳴海絞の中にあるそうです。

http://www.shibori-kaikan.com/tiedyeing

唇の内側、舌がピリピリ痛みます

相談: (20歳 男性)

1週間前から、唇の内側、舌がピリピリ痛みます。苦味もありました。耳鼻科を受診すると、睡眠不足では、と言われ、ビタメジン配合B25を出され、飲んでいますが、変わりません。

口腔外科を受診したほうがいいですか?口内炎などは無く、睡眠時間も七時間ほどとれています。カンジタキンではないかと思うのですが。

回答:口腔内科 樋口均也

口腔粘膜が痛む理由のひとつである口腔カンジダ症は、カンジダ菌というカビ(真菌)が増殖して粘膜が炎症を起こし痛みが出る病気です。お話の内容から、カンジダ菌を調べる検査を受けられることをお勧めします。カンジダ菌は口腔粘膜が乾燥している状態、すなわちドライマウスの際に合併しやすくなるため、まずは粘膜の湿潤度や唾液分泌量を調べてドライマウスの有無を確認する必要があります。

ドライマウス自体が粘膜の痛みにつながる場合もあります。唾液には粘膜を保護する働きや殺菌作用、味覚を伝える働きがあるため、唾液量が減って口が乾くと粘膜が傷つき、細菌感染による炎症で痛んだり味覚が変化したりします。

とりわけ亜鉛不足が粘膜の痛みや味覚の変化を助長するため、血液検査で結成亜鉛量を調べましょう。亜鉛不足に対しては、ノベルジンという薬の内服が効果的です。

また、上記のような異常がないにもかかわらず舌や口腔粘膜が痛む場合は、舌痛症が疑われます。舌痛症は粘膜ではなく神経の異常によるため、三環系抗うつ薬や漢方薬の服用により改善が期待できます。